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2024/11/23 09:15 |
11月~2011年1月拍手お礼文
風呂敷に包まれた塗の重箱から伝わってくる温もりの名残。
益田は其れを僅かに惜しみながら、そっと紙袋に仕舞う。真っ直ぐ入れなければ、出汁が零れてしまう。
ゆっくりと味を煮含めた南瓜は色鮮やかさを増している。
しっとりとした食感と優しい甘さはお菓子のようで、幼い弟の好物だったのだと云って、雇い主の兄は笑った。
たまには実家に帰ってくるように、という伝言を手土産と共に預かり、益田は榎木津家の母屋を出て、門を目指す。――本当に「目指す」ように歩かなければ、永遠に行き着けないような心地がする。
なにせ榎木津の実家と来たら、母屋も馬鹿でかいが、庭もだだっ広いのだ。一見して手入れされていると解る庭木も、日が落ちかけた今となっては整然とした輪郭が余計に気味悪い。葉ずれの音に混ざって何処からか聞こえる鳥の声、聞いた事が無い響きだ。此処で飼っているのだろうか。
早く此処を出て、事務所に帰らなければ。早く早く早く。
腹を空かせた彼が待っている。実家からの呼び出しを益田に押し付けたのは自分の癖に、何処か拗ねた態度だった彼が待っているのだ。
焦る益田を追い立てるように夕闇は濃さを増し、焦りが加速する。早く早く―――

がさり。

刈り込まれた茂みが音を立てて動いた。
益田ははっとそちらに目をやる。庭師か誰かだろうか。助かった、道を聞こう。榎木津の兄に案内は要らないと云ってしまった手前、情けなくはあるが―――
しかしながら、最早殆ど影の塊となった植え込みから現れたのは、見るからに庭師などでは無かった。想定していたより随分と――小さい。手足は華奢で、益田の目にも一瞬で成長途中の子供だと知れた。
薄闇の中でもひときわ明るい亜麻色の髪に、枯れ草がまとわり付いている。子供がこちらに向き直った瞬間、良く櫛を通された髪の流れに従って、するりと落ちた。
肩口まである少女めいた髪よりもきっと人目を引く大きな瞳が、益田を見上げている。夕暮れ空を駆け上がる、一対の星を思わせる。この眼に出会っていなければ、益田はこの少年を人形と思ったかもしれない。

「あ―――」
「だれだおまえは」

子花のように可憐な唇が、幼さを残す涼やかな声で、似合わぬ不遜な言葉を投げてきた。
益田は瞬間怯んだが、生憎こういう類の衝撃《ショック》には慣れている。反射的にへらりと笑顔を作った。

「ドロボウか!?」
「ち――違いますよぅ。僕は主人の使いで来た者です。この家の息子さんの。知ってますかね、榎木津――」
「ああ、馬鹿兄貴か」

ぼくはおまえのような、案山子みたいな男なんかしらないものな。
そう云うと少年は勝手に得心した様子で、また元来た植え込みに入っていこうとする。複雑に絡み合った枝に裸の膝が分け入ろうとする度、ばきばきと派手な音がした。

「あの、ちょっと待って、道を」
「ん? ちょっと待て」

ぐるりと少年の首が益田を見上げた。じっと益田の眼を――その中空と云うか、遥か奥と云うか――見ている。益々濃度を増す闇の中で、硝子球のような両の眼だけが爛々と光る。

「…かぼちゃだな!」

そう叫ぶと少年はぱっと破顔し、益田がぶら下げている紙袋に飛びついてきた。
突然の事に、益田は何に驚けば良いのか解らなくなる。とりあえず、少年が益田の荷を奪おうとしている事だけは良く解った。

「うわぁ! ちょ、ちょっと!」
「嬉しいなぁぼくはかぼちゃが大好きなんだ、汁が多いやつがいい。お腹が空いたから帰らなきゃと思っていたが、うふふ、これならまだまだあそべる」

少年は上機嫌で、重箱を取り上げんとしてくる。益田は小さな手を払いのけるだけで精一杯だ。慣れない道に足を取られ、ついに尻餅をついてしまった。じいんとした痛みが尻から腰、背中に響く。使い物が入った紙袋が、とすりと音を立てて地に着いた。幸い倒れなかったようだ。
間抜けにも転倒した益田を、少年が見下ろしている。濃紺の空と、木々の輪郭を背負って。おまけに何処か子供離れした迫力というか、荘厳さというか、そんなものまで背負っている。
ぽかんと口を開けて見上げていると、少年が不思議そうな顔をした。

「なんだおまえ」
「な、なんだって何ですよ!」
「ぼくは王様になるんだぞ。おまえは王様の食卓をいろどれることを感謝して、その美味しそうなかぼちゃを差し出せば良いのに」

細く柔らかな髪が、夜風に揺れている。きっと良く梳いているんだろう。
しかし少年はそんな事気にも留めず、乱暴な仕草で頭をばりばりと掻いた。
それを見て、益田ははっと思い出す。好き勝手に跳ねる、稲穂の色をした髪。昼は弾ける光を、夜は星を飼っている髪。

「――ぼ、僕の上司は、神様ですから」

かみさま。
その言葉を口に出した途端、どっと力が抜けた。
少年はぽかんとした様子で益田を見て、また頭を掻く。

「馬鹿兄貴は神様っていう感じじゃないしなぁ――」
「違います、僕の上司の名前はですね」
「ああいい、いい、もういいよ。そんな顔をするんじゃない、ぼくがいじめてるみたいじゃないか」

アーガイル柄の仕立てが良い靴下と、磨かれた革靴に守れた小さな足が、益田の脛を軽く蹴りつける。立て、と云われているんだろう。よろよろと立ち上がると、少年のつむじが見える。随分と大きく見えたのが嘘のようだ。
庭のあちこちに灯が点り、明るさを増した視界の先に小さく鉄の門があった。益田は安堵する。

「…あの、じゃあ、僕はこれで」
「おまえは変なやつだ」

少年の大きな眼が、じっと益田を見ている。何処にでもありそうな特徴の無い自分の輪郭が、綺麗な瞳の中に映りこんでいる。

「まぁ、かぼちゃは今度でいいや。ちゃんと届けなさい、くれぐれも汁をこぼさないように」

―――待ってるからな。


少年は僅かに微笑んで、母屋に向かう道を駆けて行った。小さな身体はたちまち夜闇に飲み込まれ、吸い込まれるように消える。益田はそれを呆然と見送り、地面に置かれた紙袋を拾い上げた。
早く帰らなければ。そろそろ彼が怒り出す頃だ。探偵椅子に憮然と腰掛け、探偵机の天板に両足を投げ出して。
益田の神が―――待っている。

―――
どうすれば仔榎と益田が合法的に出会いあわよくば…あわよくば と考えていたら夜が明けていました。



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2011/01/31 21:14 | Comments(0) | TrackBack() | 益田
9月拍手お礼文
「どちらか選べとか…急にそんな事云われましても」

馴染んだ飲み屋の一角で、益田はへらりと笑った。寄せた薄い眉の下、肉付きの悪い頬は僅かに赤い。

「だからぁ、例えばの話っすよ。僕と青木さんが崖から落ちそうだとします、今にも地面から手が離れそう、それを見ているのは益田君だけ」
「で、どっちを助けるかって話」

そんな益田の顔を対面に置いて、鳥口は上機嫌にけらけらと笑い、青木は無表情のまま日本酒を舐めるように一口呑んだ。
深い意味の無い、軽口同然のお喋り。
鳥口が益田に投げかけた二者択一の質問もそのひとつだ。
あくまで酒の肴。程度は違えど皆酔っている、誰もまともな答など期待していない。
益田一人だけが考え込んでいる。

「…ていうかですね、僕のような非力な男がですね、そもそも崖から落ちそうな鳥口君を引き上げられるわけない」
「じゃあ青木さんにします?」
「いやいや!青木さんもこう見えてなかなか良い体格してるし、一緒に落ちるのが関の山。そしたら崖下で何を云われるか」
「助かってる!それじゃあ意味ないっすよ益田君」
「えっ!?落ちたら死ぬんですか!」
「そりゃあ死にます。熟れた柿みたいにね、ぺしゃんですよ。零れた柿を嘆いても無駄だって云うでしょ」

鳥口はそう云うと、またきゃらきゃらと笑った。
あまり楽しそうなので、青木も乗ってみようかという気になる。鳥口に顔を寄せ、態としたり顔で云ってみた。

「……いっそ見なかった事にするっていうのはどうだろうか」
「うへぇ、青木さん云いますねぇ!」

はしゃぐ二人と、卓を挟んで。
顔を掌で覆ってなにやらぶつぶつ呟いていた益田が、おもむろに顔を上げる。

「……どっちも助けるって云うのは無しですか」

鳥口が大袈裟に首を振る。

「駄ァ目ですって!それじゃ問題にならない」
「いや!いざとなったらですよ、僕の持ち前のずる賢さが働いて、両方助ける方法が思い付くに決まってるんだ!そしたら二人の命も無事、恩も売れる、感謝して僕に酒の一升や二升奢ってくれるに違いない」

割り箸を教鞭に見立てて振り回しながら、真っ赤な顔の益田が叫ぶ。

「だから僕ァ!両方助けます!」

鳥口はやんやと手を叩き、青木は片眉を上げて肩を竦めた。

「よっ!益田様、頼もしいっ!」
「この三人でいるときは崖に近づかないようにしよう、あてにならないから」
「青木さん酷いィ!僕今凄くかっこいい事云ったのにィ」
「そんな調子良い事云って、もたもたしてる間に……そうだな、少なくとも僕は落ちるね」

頬杖を突く青木の前で、いやああ青木さん行かないでええなどと云いながら益田と鳥口がふざけている。
此処は馴染んだ飲み屋の一角。
三人ともが椅子に腰掛け、重い机と酒を囲む。
――当然崖など何処にも無い。

「そしたら君は――鳥口君を助けると良いよ」

調子に乗りやすく、適当な事ばかり云う。
その癖変な処で真面目なその顔がどんな形に歪むのかを、冥土の土産に。

「…………なんてね。」

僅かに朱を乗せた頬が、誰にも知られぬまま緩む。




―――
青木様像が難しくて 秋。




2010/10/31 05:26 | Comments(0) | TrackBack() | 益田
8月拍手お礼文
いつの間にか僅かに冷めた風に乗って、何処からか、子供の泣き声が聞こえる。
悲鳴のような不明瞭な言葉の中、ようやく聞き取れた「ふうせん」という言葉を頼りに、少し辺りを見渡す。
そうして益田は、赤い風船を見つけた。
もはや取ってやることも出来ないほどの高さにある。
遠目に見てもガスを一杯に含んでぱんと張った其れは、澄んだ空に吸い込まれるように真っ直ぐ真っ直ぐ昇っていく。
魂の緒を思わせる細い糸は、ひらひら踊っていたがやがて見えなくなった。
親に手を引かれた子供の声が聞こえなくなっても、益田はじっと其れを目で追っていた。
風船が只の丸い球となって、やがて点となり、光に紛れ、ついに見えなくなるまで。

「…すやま」

誰かが耳をぐいと引っ張る。

「マ・ス・ヤ・マ!」
「ッひぃぃ!」

耳の奥がわぁんと鳴った。
慌てて振り向けば、其処には神が立っている。
一面の稲穂よりもっと艶やかな髪を風に靡かせ、精悍な眉をぎゅっと寄せて。
益田は肩を竦め、背を丸めた。

「何をぼおっと見ているのだ」
「何を…ってこともないですけど」

ちらと見上げた空は何処までも突き抜けるようで、蒼の上に薄布を被せたような色と、透明感が共存している。
益田は目を瞬かせ、そして得心した。
今日の空は水に似ている。
あの風船は浮かびながらにして、沈んでいるように見えたのだ。

「風船が欲しいのか?」
「え?は、いや、そういうわけじゃ」
「よぉし!今日は風船を買いにいこう」

榎木津はにっと笑ったかと思うと、益田の手を掴んだ。
彼の歩幅は広く、益田は振りほどくのも忘れて付いて行くのがやっとだ。
困ったなぁと思いながらも、安堵する。自分が手を握っているうちは、榎木津は目の届く範囲に居る。
―――子供の手から解き放たれた風船は、今頃何処に居るのだろう。
榎木津に手をひかれながら、益田は頭上に広がる水底の事を考える。
乾いた風が、ゆるく頬を撫でていった。


―――
浮かぶ風船と、沈む風船。





2010/10/31 03:14 | Comments(0) | TrackBack() | 益田
7月拍手お礼文
事務所の中に居さえすれば、肌を灼く日差しは届かない。
ただし、だからなんだと叫びたくなるような暑さは何処までも付いてくる。
開け放たれた大きな窓から、時折吹き込む風は温い。溜まった熱をゆるりと掻き混ぜ、また夏の中へと還っていく。
自宅ならばこんなシャツなど脱いで裸で水浴びでもしたいところだが、そうもいかない。
ハンカチーフを取り出す事すらまどろっこしく、益田は結局自分の袖で汗を拭った。ぺたりと貼りついた前髪が額を擦る。
五月蝿い蝉の声に混じって、ぱしゃり、と場違いな水音が耳を擽った。そちらに意識を向けた途端、聞こえたのは榎木津のぼやき声。

「あっつい」

探偵椅子に身を投げた彼が、気だるそうにそう云ったのは何度目だろうか。
膝までズボンをたくし上げ、足先は水を張ったたらいに浸けている。秘書が申し訳程度に入れた氷片はたちまち小さくなり、辛うじて浮かんでいたひとかけらも、榎木津が水を蹴った拍子に波紋の中に沈んで消えた。

「知ってますよう」

いつまで続くんでしょうねえ。
お定まりのやりとりをして、益田は前髪の隙間から空を見上げる。雲ひとつない晴天。恵みの雨は遠そうだ。
机の上に置き去られた硝子のコップが汗を掻いている。飲み干した冷茶は大分薄まってしまい、やや色がついているだけで水同然の味がした。
最後に小さく残った氷を口の中で転がして、束の間の冷たさを味わう。榎木津の口元から、ガリッとひとつ乱暴な音。彼は氷を噛んでしまう性質のようだ。
退屈しているのだろう。榎木津が足でたらいの水を掻き回している。そのたびに白い爪先が水を跳ね上げる。
そのうちの一滴が、益田の鼻先にまで飛んできた。一瞬わずかにひやりとして、おっと思った瞬間には汗に紛れて解らなくなる。
日が暮れても尚温い夜気に混ぜた吐息のようだ。
益田が離した万年筆が、ことりと小さな音を立てた。

「榎木津さん」

ぱしゃり。
言葉の代わりに、水音が答える。

「この暑いのに、変な事を言うなとは思うんですが――」

強すぎる光が作った濃い影の中に、榎木津が居る。
自分も同じ場所に居るのだろう。
太陽を連れ込んで、同じものになったような、優越感と罪悪感で頭がくらくらと煮えるようだ。

「抱きしめても、いいですか」

蝉時雨が、ふっと止んだように感じた。
飴色に緩んだ瞳が、ゆっくりと益田を見上げる。
コップに付いた雫と同じ速度で、頬を汗が伝っていく。


どうせ溶けるならば、彼を連れて行ってしまいたい。

―――
暑さで頭が沸いてしまった益田。
沸いてるのは私ですね。太陽本気出しすぎ。



2010/08/31 14:27 | Comments(0) | TrackBack() | 益田
6月拍手お礼文
泣き出しそうな空、という台詞がある。
其れに倣うならば、今の天候はさしずめ癇癪を起こした空だ。
右から左から叩きつける雨が大袈裟でなく弾丸のようで、悲鳴を上げながら人々が逃げ惑っている。
ならば自分はさしずめ敗残兵だと、益田は呆然と荒れ狂う景色を見上げた。
ずっしりと重そうな雲と濡れた地面に挟まれ、モノクロームの視界の中で自分の頭の上に被さる軒だけが妙に浮かれた赤色をしている。
二人組の女学生がきゃあきゃあ騒ぎながら雨宿りに入ってきて、少々居心地が悪い。益田はそっと身を端に寄せた。
強い雨が水溜りに落ち、跳ね返った雨水が制服の裾を酷く濡らす。
流れ弾を食らったなと思いながら、色を濃く染めた生地を見下ろしていると、目の前でぱしゃりと水が跳ねた。雨では無く、誰かの靴によって蹴立てられて。

「何俯いてるんですか、益田さん」

顔を上げると其処には、見慣れた後輩の顔。それから、見慣れた蝙蝠傘。

「亀ちゃん、迎えに来てくれたの」
「どうせこんな事だろうと思ったんだ。何やってんです、傘も持たないで」
「いやぁ、多少の雨なら濡れて帰る心算だったんだけどね!いやぁわざわざ有難う、亀ちゃん大好き」

雨音があまりに煩いので、少し大きな声が出る。
亀井は少し肩を竦め、傘の柄を握り直した。入れ、と云っているのだろう。
薄い生地で出来た仮初の屋根を、雨がしきりに叩いている。
益田はさっと手を伸ばして柄を掴むと、くるりと振り向いた。心細げに空を見上げていた女学生達が、気づいてはっと身を竦めた気配がする。

「お嬢さん達、この傘使う?」
「えっ!?」

突然の申し出に面食らったのは女学生達ばかりではない。
益田は亀井の手からするりと傘を奪うと、詰んだ花でも渡すような何気無い仕草で少女の前に差し出した。

「雨が止んだらね、適当な交番にでも渡しといてよ。亀井の傘だって言ったら多分解るから」

女学生達は互いを見つめたり、益田を見上げたりと急がしそうに視線を泳がせたが
やがて華奢な手を傘に伸ばし、それぞれがぺこりと2人に頭を下げて軒下から出て行った。
傘の下で翻る制服の裾が、水煙りの中に消えていく。
笑って手を振るのを止めた益田がちらりと傍らを見ると、女学生達の代わりに亀井が憮然とした顔で立っていた。

「――何してくれてんですか」
「だってさあ、あの子達見た?あんなに雨に濡れて寒そうだったし。三つ編みをハンカチーフで絞る姿がいたいけでもう」
「そりゃ益田さんもでしょう」

さっぱりと切り揃えられた前髪が、幾筋か額に張り付いている。
是とも否とも答えずに益田がへらへらと笑うので、亀井は諦めて天を見上げた。
癇癪は収まる様子を見せず、遠くで雷鳴すら聞こえ始めている。

「どうすんですか、益田さん」
「しばらく雨宿りしてさ、駄目そうだったら仕方ないから濡れて帰ろうよ。たまにはいいんじゃない、こういうのもさ」

そうして途切れた会話を、煩いほどの雨音が埋めている。
なんとなしに亀井の横顔に目をやると、亀井も自分を見ていたようで。一瞬だけ視線がぶつかったが、亀井の方が決まり悪げに眼を逸らしてしまった。
軒を雨が叩く音に紛れて、益田は肩を揺らして笑う。


―――
身内の亀益流れに乗っかってみました(お…遅い…)
簡単に言える大好きと言えない好きについて。




2010/07/31 16:30 | Comments(0) | TrackBack() | 益田

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