Web拍手お返事です。ありがとうございます。
>蒼月様
『下手の考え~』お読み頂いてありがとうございます。
榎木津のベッドで眠らない益田というのがブログ開設時からの萌えなので、今回のリクエストにも反映致しました。中禅寺に懐く益田可愛いなぁと思って…。榎木津を冷やかす中禅寺も書けて楽しかったです。
お腹の足しにして頂けたら光栄です。
通販は出来るだけ早めの対応を心がけますので、その際は宜しくお願い致します。
うちの地方は台風の被害を特に受けず、ちょっと強い雨が降った程度でした。ご心配頂き、ありがとうございました。
>eri様
拍手文への御感想ありがとうございます。変なメルヘン?ですみません…。
龍一つながりで坂本先生情報もありがとうございました。現在益田が生きてたら坂/本/龍一よりもずっと年上なんですね。意外な感じがします。
『下手の考え~』への御感想も嬉しいです。寝る益田は正義。ありがとうございました。
叩いてくださった方も、ありがとうございました。
9月になりましたね。
先日は去り行く8月を惜しんで突発的に茶室を開けたのですが、予想外に色々な方に遊びに来て頂けて嬉しかったです。しかも皆様眩暈坂上2にサークル参加なさる方なので、原稿の進度の話もチラチラ出て「ウウッ…頑張ろう」と思った次第です。ありがとうございました。
毎回話題が豊富なことに定評のある益田界、今回も様々な話が飛び出しました。特に中心となったのは
羽田×益田
…違うんだ(何が)
誰も傷つけず合法的に益田にセクハラを働くにはどうすれば良いか、という命題のひとつの解決策が羽田なんです。何かそういうことだったのです。誰もが一度は通る道を遅ればせながら通らせて頂きました。最終的には榎木津が(3階の)窓を破って助けにくるのでお子様にも安心です!
そんなわけで以下にログの内容を一部まとめた感じの羽田×益田しまっておきますね…。飛び出した意見と私の妄想が詰まってます。
特に興味がある方以外にはあまりお勧め出来ません。いつもながら、相すみません。THE 勢い!
>蒼月様
『下手の考え~』お読み頂いてありがとうございます。
榎木津のベッドで眠らない益田というのがブログ開設時からの萌えなので、今回のリクエストにも反映致しました。中禅寺に懐く益田可愛いなぁと思って…。榎木津を冷やかす中禅寺も書けて楽しかったです。
お腹の足しにして頂けたら光栄です。
通販は出来るだけ早めの対応を心がけますので、その際は宜しくお願い致します。
うちの地方は台風の被害を特に受けず、ちょっと強い雨が降った程度でした。ご心配頂き、ありがとうございました。
>eri様
拍手文への御感想ありがとうございます。変なメルヘン?ですみません…。
龍一つながりで坂本先生情報もありがとうございました。現在益田が生きてたら坂/本/龍一よりもずっと年上なんですね。意外な感じがします。
『下手の考え~』への御感想も嬉しいです。寝る益田は正義。ありがとうございました。
叩いてくださった方も、ありがとうございました。
9月になりましたね。
先日は去り行く8月を惜しんで突発的に茶室を開けたのですが、予想外に色々な方に遊びに来て頂けて嬉しかったです。しかも皆様眩暈坂上2にサークル参加なさる方なので、原稿の進度の話もチラチラ出て「ウウッ…頑張ろう」と思った次第です。ありがとうございました。
毎回話題が豊富なことに定評のある益田界、今回も様々な話が飛び出しました。特に中心となったのは
羽田×益田
…違うんだ(何が)
誰も傷つけず合法的に益田にセクハラを働くにはどうすれば良いか、という命題のひとつの解決策が羽田なんです。何かそういうことだったのです。誰もが一度は通る道を遅ればせながら通らせて頂きました。最終的には榎木津が(3階の)窓を破って助けにくるのでお子様にも安心です!
そんなわけで以下にログの内容を一部まとめた感じの羽田×益田しまっておきますね…。飛び出した意見と私の妄想が詰まってます。
特に興味がある方以外にはあまりお勧め出来ません。いつもながら、相すみません。THE 勢い!
芸者小屋が引っ越してきたような内装の部屋だと思った。益田自身芸者小屋に実際足を踏み入れた事は無いが、芸者小屋と云われて万人が漠然と想像する景色をそのまま移築したかの如き退廃的な雰囲気が満ちている。その分記号的で、非現実的で、有体に云うなれば、趣味が悪い。
銀髪の老人は茶の間でも案内するように益田に着席を促した。実際緋毛氈に腰を落としたのは益田の意志では無く、両脇を固めていた黒服連中によるものだった。盛大に尻餅をついた益田を無視して彼らは退席し、後には益田と、老人だけが残った。
皺に埋もれた眼が一瞬鋭さを和らげ、細められる。
「よう来てくれたのう、え、益田」
「ええ、お陰様で」
精一杯の皮肉も、男の老獪さによって受け流された。掴まれていた腕を擦りながら、益田は唇を噛む。
羽田隆三――二度と関わりあう事は無いと思っていたのだが。
飴色に照り輝く卓を、羽田の骨ばった指先がとんとんと叩いている。口元に浮かぶ好色な笑みが自分だけに向けられていると知って、益田の背をぞくぞくと怖気が駆け上がった。
「兄ちゃんかて悪い話ちゃうやろ。月に何度か此処まで来て儂の相手してもらうだけで十分なお手当て出したるっちゅうてんねん。それだけと違うど、探偵ちゅうケチな商売も続けさせたる。まぁ当然こっちの方がええ儲けになるわな――頑張り次第っちゅうやっちゃな。歩合制や」
声質は枯れているのに、含んだ厭な欲が滴るようだ。益田は喉が震えるのをぐっと堪える。
「あ、生憎僕は其処までするほど生活には困ってませんし、第一そんな事、出来ません。しません」
「嘘云いなや。儂ゃ此れまでの人生で色んな女も男も見てきとる。今でもちょっと置屋に顔出してみぃ、どいつもこいつも羽田様羽田様や。儂に目ェかけられるんがどんなにか光栄な事か知っとるんや。その羽田様が云うとるんやぞ。益田、お前には素質があんねん」
何の素質だ。益田は今度こそ冗談でなく震えた。
ちらりと後ろを振り向けば、閉て切られた襖が白壁のような威圧感をもって聳えている。実際この向こうには先程益田を引っ張ってきた連中と似たような屈強な見張りの2、3人も居るのだろう。その念の入れようと来たら、乗馬鞭まで取り上げられた程だ。あれをマトモな凶器として扱ってくれたのは、恐らく此処の連中が初めてではないだろうか。
視線を戻した益田が息を途端詰める。一瞬気を反らした隙に、羽田の手が間近に迫ってきていた。
「未だ女の味もよう知らんようなただのガキに儂が此処まで待遇するなんざァ、取り巻き連中が見たら卒倒するで。いい加減観念せぇ、なぁ」
「知りませんよそんな事、お願いします羽田さん、帰らせてください」
「まぁ聞け。儂ゃこう見えて寛大な男やねんど。さっきも云うたが、こっちは副業で構へん。なんや変な嗅ぎ回りだの、コソ泥だの、好きなようにせぇ。榎木津のぼんに可愛がってもらうんも自由や」
なぁ益田、と羽田の声が益田の耳元を舐める。
しかし益田の頭は既にその言葉を遮断していた。
その前にこの男は――この男は、今、何と云った?
「――何で今、榎木津さんが出てくるんですか」
「おぅおぅ健気な犬やのう。榎木津のガキゃお前の事死んだってええとかぬかしとったが、儂にはちゃあんと判っとんねん。判っとるからこそお前引っ掛けてハメたろう思ったんやろがい。あんガキのお古っちゅうのは随分癪な話やが其れでもええっちゅう儂の寛大さが」
「え、榎木津さんを――そんな風に云うなっ…!!」
やおら立ち上がった益田を見て、羽田は面食らったような顔をした。益田の声が外まで漏れたのか、襖の向こうから緊張した気配が漂ってくる。
目の奥や鼻の奥がじんじんと熱い。
急に感情が高ぶりすぎた所為か熱を持った頬をだらだらとみっともない程に涙が伝うのが判ったが、益田は羽田の目を睨み付けるのを止めなかった。
この男の下劣な思考に、榎木津を勝手に介入させるとは。自分でも何だか判らない程、酷く腹が立った。
あの人は、あの人は。
卓にばたばたと益田の涙が落ちるのを見ていた羽田は、顔中を皺にして、さも楽しそうに大声で嗤った。
「なんやお前、榎木津となんも無いっちゅうんかい。すると初物か。こりゃあ益々ええ出物見っけたなァ」
「煩いッ! その口で榎木津さんの名前を出すなッ!」
「するってぇとあれやな、儂もちょいと考えを改めなあかんな」
横たえられていた杖を手に取り、羽田も立ち上がった。見上げられている筈だが、大物然とした威圧感がある。加えて何やら企みめいた酷薄な笑みが口端に上っているのを見て、益田は、自分が激情にかられて何かとんでもない事を云ってしまったのではと思い至った。
「益田がどうしても儂のモンにならんっちゅうんやったらそらしゃあない。スッパリ諦めるわ。そしたらそん代わりの面子連れてこなこっちも気が済まん。部下の不始末の責任は上司が取るもんや。せやろ?」
「榎木津さんは、こんな卑俗な行為に屈したりなんか」
「卑俗とはよう云うた。卑俗なら卑俗なりに出来る事はナンボでもあんねん。幾らあの乱暴者でも薬の2つ3つ噛ませたら何とでもなるやろ」
なるものか。なってたまるか。
しかし羽田は、益田の言葉にならない心中を読んだかのように先を続ける。
「あのぼんは口きかせたらマァ手におえんじゃじゃ馬やが、顔だけは上物や。機会さえあれば一度は味見してみたいっちゅうんも、うちの若い衆の中に何人おるかなぁ」
「そんなこと――」
「出来る訳無い、っちゅうんか。まぁ出来へんかもなぁ。何でも物事やってみな判らん。だがな益田、よう聞いとけよ。もし『出来てしもうた場合』――それはお前の所為や。お前が妙な手向かいせぇへんかったら、榎木津は綺麗な身体でおられたのになぁ…」
益田の膝ががくりと折れて、この部屋に来た時と同じように毛氈の上に崩れ落ちた。
相変わらず怒りが煮えたぎっている筈なのに、発露する先が見当たらない。ぐらぐらと揺れるばかりの感情は冷たい汗を搾り出させ、頭の中から痛みを引き出している。
へたりこんで見上げた羽田の姿は、やはり大きく見えた。男の口元がにやりと引きあがる。
「観念、したようやな」
羽田が構えた杖の先が、つうと益田の首筋を撫でる。
「まぁ安心せェ。榎木津ならともかく、お前の鳥ガラ同然の身体食いたいちゅう物好きはそうおらんやろ。羽田隆三の気に入りに手ェつける阿呆もなかなかおらんがな。せやからもう泣きなや。酷い事云うて悪かったなぁ。詫びに早速可愛がったるからなァ」
羽田が手拍子を打つと、二度と開かないような気すらしていた襖があっけなくすらりと開いた。両脇を黒服に抱えられ、引き摺られるように部屋を出る。何処へ連れて行かれるのだろう。湯殿か、寝室か。もうどうでも良い。
長い廊下の床は見知らぬ材質で、そこかしこに豪奢な家具類が見て取れたが、当然ながら見慣れた薔薇十字探偵社の調度と重なるものは一つとして存在しなかった。
(――榎木津さん)
記憶の像に残らない、頭の中で呼びかける。
この状況は榎木津の所為では無い。榎木津を守りたい、などと恩を売るつもりもない。ただ手前勝手にやっているだけのことだ。榎木津が最も嫌う行為。
無事に帰れたら、榎木津はこの記憶を視てしまうだろう。出来る事なら視せたくない。榎木津の能力は体質だから、要不要を選り分ける事も出来ない。視たくもない物を見せられる彼の方が余程かわいそうだ。
(…叱って、くれるかな)
僕の云うことを聞かなかったからだと。いつものように。
恫喝したり、叩いたり、蹴ったり。僕を泣かせたり。
二度と許してくれなくても良い。
叱ってください。
―――
それはそれ、これはこれ(魔法の呪文)誰か続き書いてください。
銀髪の老人は茶の間でも案内するように益田に着席を促した。実際緋毛氈に腰を落としたのは益田の意志では無く、両脇を固めていた黒服連中によるものだった。盛大に尻餅をついた益田を無視して彼らは退席し、後には益田と、老人だけが残った。
皺に埋もれた眼が一瞬鋭さを和らげ、細められる。
「よう来てくれたのう、え、益田」
「ええ、お陰様で」
精一杯の皮肉も、男の老獪さによって受け流された。掴まれていた腕を擦りながら、益田は唇を噛む。
羽田隆三――二度と関わりあう事は無いと思っていたのだが。
飴色に照り輝く卓を、羽田の骨ばった指先がとんとんと叩いている。口元に浮かぶ好色な笑みが自分だけに向けられていると知って、益田の背をぞくぞくと怖気が駆け上がった。
「兄ちゃんかて悪い話ちゃうやろ。月に何度か此処まで来て儂の相手してもらうだけで十分なお手当て出したるっちゅうてんねん。それだけと違うど、探偵ちゅうケチな商売も続けさせたる。まぁ当然こっちの方がええ儲けになるわな――頑張り次第っちゅうやっちゃな。歩合制や」
声質は枯れているのに、含んだ厭な欲が滴るようだ。益田は喉が震えるのをぐっと堪える。
「あ、生憎僕は其処までするほど生活には困ってませんし、第一そんな事、出来ません。しません」
「嘘云いなや。儂ゃ此れまでの人生で色んな女も男も見てきとる。今でもちょっと置屋に顔出してみぃ、どいつもこいつも羽田様羽田様や。儂に目ェかけられるんがどんなにか光栄な事か知っとるんや。その羽田様が云うとるんやぞ。益田、お前には素質があんねん」
何の素質だ。益田は今度こそ冗談でなく震えた。
ちらりと後ろを振り向けば、閉て切られた襖が白壁のような威圧感をもって聳えている。実際この向こうには先程益田を引っ張ってきた連中と似たような屈強な見張りの2、3人も居るのだろう。その念の入れようと来たら、乗馬鞭まで取り上げられた程だ。あれをマトモな凶器として扱ってくれたのは、恐らく此処の連中が初めてではないだろうか。
視線を戻した益田が息を途端詰める。一瞬気を反らした隙に、羽田の手が間近に迫ってきていた。
「未だ女の味もよう知らんようなただのガキに儂が此処まで待遇するなんざァ、取り巻き連中が見たら卒倒するで。いい加減観念せぇ、なぁ」
「知りませんよそんな事、お願いします羽田さん、帰らせてください」
「まぁ聞け。儂ゃこう見えて寛大な男やねんど。さっきも云うたが、こっちは副業で構へん。なんや変な嗅ぎ回りだの、コソ泥だの、好きなようにせぇ。榎木津のぼんに可愛がってもらうんも自由や」
なぁ益田、と羽田の声が益田の耳元を舐める。
しかし益田の頭は既にその言葉を遮断していた。
その前にこの男は――この男は、今、何と云った?
「――何で今、榎木津さんが出てくるんですか」
「おぅおぅ健気な犬やのう。榎木津のガキゃお前の事死んだってええとかぬかしとったが、儂にはちゃあんと判っとんねん。判っとるからこそお前引っ掛けてハメたろう思ったんやろがい。あんガキのお古っちゅうのは随分癪な話やが其れでもええっちゅう儂の寛大さが」
「え、榎木津さんを――そんな風に云うなっ…!!」
やおら立ち上がった益田を見て、羽田は面食らったような顔をした。益田の声が外まで漏れたのか、襖の向こうから緊張した気配が漂ってくる。
目の奥や鼻の奥がじんじんと熱い。
急に感情が高ぶりすぎた所為か熱を持った頬をだらだらとみっともない程に涙が伝うのが判ったが、益田は羽田の目を睨み付けるのを止めなかった。
この男の下劣な思考に、榎木津を勝手に介入させるとは。自分でも何だか判らない程、酷く腹が立った。
あの人は、あの人は。
卓にばたばたと益田の涙が落ちるのを見ていた羽田は、顔中を皺にして、さも楽しそうに大声で嗤った。
「なんやお前、榎木津となんも無いっちゅうんかい。すると初物か。こりゃあ益々ええ出物見っけたなァ」
「煩いッ! その口で榎木津さんの名前を出すなッ!」
「するってぇとあれやな、儂もちょいと考えを改めなあかんな」
横たえられていた杖を手に取り、羽田も立ち上がった。見上げられている筈だが、大物然とした威圧感がある。加えて何やら企みめいた酷薄な笑みが口端に上っているのを見て、益田は、自分が激情にかられて何かとんでもない事を云ってしまったのではと思い至った。
「益田がどうしても儂のモンにならんっちゅうんやったらそらしゃあない。スッパリ諦めるわ。そしたらそん代わりの面子連れてこなこっちも気が済まん。部下の不始末の責任は上司が取るもんや。せやろ?」
「榎木津さんは、こんな卑俗な行為に屈したりなんか」
「卑俗とはよう云うた。卑俗なら卑俗なりに出来る事はナンボでもあんねん。幾らあの乱暴者でも薬の2つ3つ噛ませたら何とでもなるやろ」
なるものか。なってたまるか。
しかし羽田は、益田の言葉にならない心中を読んだかのように先を続ける。
「あのぼんは口きかせたらマァ手におえんじゃじゃ馬やが、顔だけは上物や。機会さえあれば一度は味見してみたいっちゅうんも、うちの若い衆の中に何人おるかなぁ」
「そんなこと――」
「出来る訳無い、っちゅうんか。まぁ出来へんかもなぁ。何でも物事やってみな判らん。だがな益田、よう聞いとけよ。もし『出来てしもうた場合』――それはお前の所為や。お前が妙な手向かいせぇへんかったら、榎木津は綺麗な身体でおられたのになぁ…」
益田の膝ががくりと折れて、この部屋に来た時と同じように毛氈の上に崩れ落ちた。
相変わらず怒りが煮えたぎっている筈なのに、発露する先が見当たらない。ぐらぐらと揺れるばかりの感情は冷たい汗を搾り出させ、頭の中から痛みを引き出している。
へたりこんで見上げた羽田の姿は、やはり大きく見えた。男の口元がにやりと引きあがる。
「観念、したようやな」
羽田が構えた杖の先が、つうと益田の首筋を撫でる。
「まぁ安心せェ。榎木津ならともかく、お前の鳥ガラ同然の身体食いたいちゅう物好きはそうおらんやろ。羽田隆三の気に入りに手ェつける阿呆もなかなかおらんがな。せやからもう泣きなや。酷い事云うて悪かったなぁ。詫びに早速可愛がったるからなァ」
羽田が手拍子を打つと、二度と開かないような気すらしていた襖があっけなくすらりと開いた。両脇を黒服に抱えられ、引き摺られるように部屋を出る。何処へ連れて行かれるのだろう。湯殿か、寝室か。もうどうでも良い。
長い廊下の床は見知らぬ材質で、そこかしこに豪奢な家具類が見て取れたが、当然ながら見慣れた薔薇十字探偵社の調度と重なるものは一つとして存在しなかった。
(――榎木津さん)
記憶の像に残らない、頭の中で呼びかける。
この状況は榎木津の所為では無い。榎木津を守りたい、などと恩を売るつもりもない。ただ手前勝手にやっているだけのことだ。榎木津が最も嫌う行為。
無事に帰れたら、榎木津はこの記憶を視てしまうだろう。出来る事なら視せたくない。榎木津の能力は体質だから、要不要を選り分ける事も出来ない。視たくもない物を見せられる彼の方が余程かわいそうだ。
(…叱って、くれるかな)
僕の云うことを聞かなかったからだと。いつものように。
恫喝したり、叩いたり、蹴ったり。僕を泣かせたり。
二度と許してくれなくても良い。
叱ってください。
―――
それはそれ、これはこれ(魔法の呪文)誰か続き書いてください。
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