榎益R15。性描写メインなので、苦手な方ご注意。
それなりに乱暴に突き倒した。
寝台に縋る痩せた指を引き剥がし、纏めた手首ごと冷たい床に押し付けた。
準備もそこそこに、怯える身体に突き込んだ。
ここに至る全ての過程に共通するもの。それは。
「―――痛いのが好きなのか」
剥き出しの背に、乾いた声が降る。皇かな木目に、少しでも縋る部分を探す益田の指先が猫のようだと思う。殆ど衣服は剥ぎ取ったが、脱がし忘れた靴下がどこか滑稽だ。滑る爪先は、榎木津のものが入り込む度に丸まった。ろくな支度もせずに成された結合は、榎木津の方にも相応の痛みを齎している。益田はひっきりなしに荒い息を吐き出すばかりで答えようとしない。きつ過ぎる締め付けに逆らって己を揺さぶりながら、榎木津はもう一度同じ問いを与えた。
擡げた頭がふるふると否を示したので、榎木津はそれを咎めるために浮き出した背骨の一つに歯を立てる。同じことを2回言わせた罰と、嘘をついた罰として。
「勃ってるじゃないか」
覆いかぶさったまま下生えに指先を潜らせると、やはりそこは胸に触れる背中以上に湿っていた。柔らかな寝具と違い、冷たい板張りの床は全く益田を受け入れない。益田の意思に反して屹立した自身から重力に従って落ちた滴すら、染み込むでも乾くでもなく、ただその場に広がっていた。
少し身を乗り出して耳殻を食むと、小さく声を上げた益田ががくりと沈む。膝が汗で滑り、後孔に飲み込んだ榎木津が抜け出そうになった。遊んでいた指先で腰を捕らえ、抜けた分以上に押し込めば、悲鳴とともに益田の背が、喉が仰け反る。
「うあぁ……っ!」
「答えなよ」
汗が流れる顎のラインをなぞるようにして、口内に指を差し入れた。幾分小さな歯列を掠めた先にある柔らかな下に指先を軽く押し付ける。人差し指の皮膚を通して、一瞬粘膜が強張ったのが判った。
弱弱しく開いた益田の唇から、ぽつりぽつりと声が落ちる。艶を帯びた黒髪の向こうで、正体の解らない滴が床を濡らした。
「い…いっ…良い、です……っ…いたぁ…っ…あっ…い…の、も―――」
―――貴方となら。
快楽に途切れ途切れの声で、益田はそう云った。
それを理解した時、榎木津は無性に彼の顔を見たくなったが、後ろから組み伏せた状態ではそれも侭ならない。ただ衝動のまま、さらに楔を打ち込む。意味を持たない、泣き声に似た甲高い声が上がった。もっと内側を吐き出させたいと躍起になるものの、そう思えば思うほどに身体ばかりが先走り、結果益田を追い詰めるばかりだ。柄にも無い、と自嘲の笑みが零れると共に尖った肩が震えた。どんな意味に解釈したのか。否、益田はきっと畏れているのだ。
彼の深い部分を探すには、身体だけでは届かない。榎木津だけではなく、益田も未だそれを知らなかった。
お題提供:『ペトルーシュカ』様
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M属性で知られる益田本人が「痛いのは嫌」と云っているのを尊重し
ここは「肉体的にはノーマルであくまで精神的なM」と云う説を主張したいですが説得力に欠ける…床でやる萌え。