此処に来る時はいつも作業服だなぁ、と思う。外壁の白も美しいビルヂング内で、扉に据えられた金のノブひとつ取っても瀟洒な造りの事務所だ。我ながらどう見ても浮いており、出入りの水道屋か電気屋にしか見えない。
だが、浮いている位で丁度良いとも思っている。何せ此処は探偵を筆頭に、明らかに「普通」でない人種の集まりなのだ。馴染んでしまったが最後、最早自分が過ごしている愛すべき常識の世界には戻れまい。いくら自分が幾度と無くこのドアを潜っており、勝手知ったる他人の家ならぬ探偵事務所になっているとしてもだ。
からんからんと鳴るベルの音で顔を上げたのは、いつも通り掃除をしていた探偵秘書の男だった。
「おや、お久しぶりですな」
「こんにちは」
「今日はどう云った御用向きで?先生ですか、益田君ですか」
「直接話しますから大丈夫です、益田さんはいらっしゃいますか」
一応室内を見渡してみたが、太陽光を受けて光る三角錐が置かれた机にも、応接セットなのか仕事机なのか最早あやふやなソファにもその姿は無い。尋ねられた寅吉は得心した様子で、箒を持ったまま歩き出した。彼が進んで行く先は、探偵の寝室では無かったろうか。
首を傾げる僕の目の前で、寅吉は拳の裏を使ってコンコンと扉を叩いた。
「益田君起きなさい、益田君や。君にお客さんだよ」
やや間を置いてドアノブが回り、中から黒髪の男が現れた。
ベストもタイも付けておらず、綿のシャツは僅かによれていていかにも寝起きと云った様相だ。客と聞いて起きてきた筈なのに、ふわあぁ、と大欠伸までしている。僕の姿を認めると、涙を浮かべた目を擦りながら、おざなりにお辞儀をしてみせた。
「電気屋さんかと思ったら、本島さんでしたか。どうもおはようございます」
「ど、どうも」
「おはようございますじゃあないよ益田君。全くだらしない。彼だったから良いようなものの、本当のお客様だったらどうするんだい」
矢張り客として認められていない。
益田がどさりとソファに腰掛けたので、つられて自分も座る。クッションに身を預けて、未だ眠たそうな益田に話しかけた。
「事務所改装したんですか?」
「へ、何でですか」
「益田さんが寝てた部屋は、榎木津さんの寝室だった所ですよね」
「そうですよ、と云うより、今もそうです」
意味を量りかねている僕と、細い目をしょぼしょぼさせている益田の目の前に、それぞれ冷たい水が置かれる。
有難く飲んでいると、寅吉がつまらなそうに呟いた。
「最近益田君は、先生の寝床で寝泊りしてるのさ」
含んだ水を噴き出しそうになった。どうにか堪えたものの、変な所に入ってしまい噎せている僕の頭上で、変な会話が続いている。
「いやぁ凄いんですよ実際、榎木津さんの寝台。何て云うんでしょうねぇ、クッションが凄い。その上布団は羽ですよ。綿じゃないんですよ。おまけにシーツはいつも清潔で、良ぉく眠れるんですねこれが」
「私ゃ君を安らかに寝かせるためにシーツを換えてる訳じゃ無いよ、全く。このソファが気に入ったって云ってたのに、贅沢は直ぐ憶えるんだから」
「いやいや確かにこのソファも素晴らしかったですよ、でもやっぱり寝心地が全然違いますねェ。まぁ縮こまって寝てますから実際寝てる面積としたらソファとそんなに変わらないですけど」
益田はさも楽しげにけけけ、と笑っている。僕はようやく気管の水を収めるところに収めたものの、驚きすぎて何の用事で来たのかすっかり忘れてしまった。忘れてしまう程度の事だ、大した用事じゃあ無かったのだろう。恐らく。
聞いたら面倒な事になる、と思った時には、既に僕の口は益田に向けて開かれてしまっていた。
「榎木津さんは何処で寝てるんですか!」
「何処でって、この中ですよ?ベッドの大半取って、すやすやとお休みです」
益田の華奢な指が寝室の扉を示し、頭をがんと殴られたような気持ちになった。変な事務所だとは思っていたが、こういう可笑しさは想定外だ。
馬鹿のように口をぽかんと開けたまま、部屋と益田とを交互に見ている自分に向かって、益田がきゃああと大袈裟な悲鳴を上げた。
「嫌だー本島さんったらいやらしい!何も無いですよう!寝てるだけですって」
「ね、ね、寝てるだけって、榎木津さんと、あの榎木津さんと…ですよね?」
「そうですよ。まぁ寝てる時はあの人も綺麗なもんです。寝言とか云うから寝ててやっと起きてる普通の人くらいですかねぇ」
目覚めて大分口の滑りが良くなってきたらしい益田が、首を傾げたり指先を捏ね回したりしながら説明する。その口調には後ろめたさはおろか、照れのひとつも感じられない。さも当たり前と云った様相ですらある。
「うら若き女性と同衾なんて云ったら流石の僕も丁重にお断りしますけど、相手はいくら美形ってったって30半ばのおじさんですからねぇ」
後頭部を掻きながら更に益田が続けた。それもどうかと思う、とも云えず僕も何となく頷く。
其処に何も云わず自分の職分を果たしていた筈の寅吉が現れ、箒で益田の頭を軽く小突く。
「折角起きたんだ、買い物にでも付き合いたまえよ」
「えええ、和寅さんと買い物に行くと長いんですもん。本島さんと行けばいいじゃないですかぁ」
「彼はお客さんだろう。ゆっくりしていってくださいよ。もし電話がかかってきたら、探偵は不在ですとか云っておいてくれれば大丈夫だから」
普通客は、訪問先で掛かってきた電話には出ない。
僕が何も云わないのを了解と解釈したのか、割烹着を着たままの寅吉と、益田――彼に至ってはいってきまぁすと手まで振って――は出て行ってしまった。
カウベルが鳴り止めば、辺りは静かなものだ。だだっ広いフロアに、たった一人取り残される。
見る物も無いので何となく座り込んでいると、丁度視線の中にあったドアノブが回り、ドアが開いた。中から現れたのは、薔薇十字探偵社の社主であり、探偵であり、最も普通からかけ離れた男。
鳶色の瞳は僕の姿を認めると、先程まで益田が座っていた席に座った。
「武蔵嵐山じゃないか、何故此処に居る?」
「ええと…留守番です」
武蔵嵐山では無いし、そもそも別の用件があって来た筈なのだが、訂正するのも面倒だし、意味が無いので中間を全て省略して現在の状況だけを答えた。どうやら、榎木津の機嫌を損ねずに済んだようだ。
皺の寄ったシャツとくしゃくしゃの髪が益田とだぶって見えて、つい目を逸らす。その行動が気になったのか、榎木津は僕の頭のあたりをじっと睨んだ。
「益山に会ったのか」
「ああ、はい。丁度そこに座ってて…ちょっと話しました」
「何を聞いた?」
ぎくり、と背筋が強張る。
益田の態度は決して後ろ暗いものでは無かった筈で、榎木津の質問にもきっと他意は無い。なのに悪い事を聞かれたような気になってしまったのは、きっと自分の受け取り方の問題だ。
益田が飲まなかった水を飲んだ榎木津が、僕の答えを待たずに云う。
「マスカマが僕と寝てて、何か不都合があるのか?」
「いや不都合なんて――ただ」
僕だって、近藤の手伝いで徹夜して、部屋に戻る体力も尽きた時等はあの雑然とした部屋で倒れるように眠り、結果あの山賊のような男と雑魚寝の形になってしまう事もままある。勿論申し訳無い気分になる事は一切、無い。相手が近藤で無くても、例えば益田であっても問題は無いだろう。
何故益田が榎木津の寝室から現れた時、僕は動揺してしまったのだろうか。答えなど、解りきっていた。
「彼は、榎木津さんの事が―――好きなんじゃないかな、と思ってましたから」
「なるほど」
榎木津がにやりと笑い、僕は肩を竦める。云ってはいけない事を云った。少なくとも、益田にとっては。
けれど榎木津は至って変わらぬ様子で、手慰みにグラスの縁を指で擦っている。
「そうだよ、ヤツは僕の事が好きだ」
「えぇっ!?」
「自分で云った癖に何を吃驚している、東武竹沢!」
「だ、だって、益田さんは何も無いって」
「一緒に寝たら何かしないといけないのか、顔に似合わずいやらしい男だな東松山は」
一日に2回もいやらしいと云われてしまった。不毛だ。
釈然としない気持ちでグラスの水を舐める僕を無視し、榎木津は更にクッションに深く埋もれる。
「僕だってにゃんこを抱いて寝たりしたい。にゃんこは良いぞーあったかくてやわらかくて。でも僕はにゃんこを撫でることはあっても何かしようなんて思わない。赤ちゃんだってお母さんと一緒に寝るじゃないか」
「はぁ、そうですね」
早苗と梢が手を繋いで、縁側で午睡している光景を思い出した。榎木津にも視えたのか、「かぁわいいなぁ」と喜び、整った顔を崩している。
僕もつられ笑いをしたが、榎木津がグラスを机に叩きつけるように置いたので、驚いた。たぁんという高い音。
顔を上げると、一瞬前とは別人のような顔をした榎木津が居る。
「―――益山が僕と寝なくなったら、僕の勝ちだ」
贅沢は直ぐに憶えてしまうと寅吉は云っていた。
彼が、心地の良い寝床を放棄する時があるとすれば。
想像したくは無かったが、その時既に僕の中には、軽薄な笑みを消し去った益田の顔が浮かんでしまっていた。
―――
少し早いですが、シロさんお誕生日おめでとうございます。
「益田と榎木津が性的な意味でなく一緒に寝てるのが読みたい」との事でしたので書いてみました。
多分こういうことじゃ…榎木津…こんな…なんか…ううん……とにかくおめでとうございます!
だが、浮いている位で丁度良いとも思っている。何せ此処は探偵を筆頭に、明らかに「普通」でない人種の集まりなのだ。馴染んでしまったが最後、最早自分が過ごしている愛すべき常識の世界には戻れまい。いくら自分が幾度と無くこのドアを潜っており、勝手知ったる他人の家ならぬ探偵事務所になっているとしてもだ。
からんからんと鳴るベルの音で顔を上げたのは、いつも通り掃除をしていた探偵秘書の男だった。
「おや、お久しぶりですな」
「こんにちは」
「今日はどう云った御用向きで?先生ですか、益田君ですか」
「直接話しますから大丈夫です、益田さんはいらっしゃいますか」
一応室内を見渡してみたが、太陽光を受けて光る三角錐が置かれた机にも、応接セットなのか仕事机なのか最早あやふやなソファにもその姿は無い。尋ねられた寅吉は得心した様子で、箒を持ったまま歩き出した。彼が進んで行く先は、探偵の寝室では無かったろうか。
首を傾げる僕の目の前で、寅吉は拳の裏を使ってコンコンと扉を叩いた。
「益田君起きなさい、益田君や。君にお客さんだよ」
やや間を置いてドアノブが回り、中から黒髪の男が現れた。
ベストもタイも付けておらず、綿のシャツは僅かによれていていかにも寝起きと云った様相だ。客と聞いて起きてきた筈なのに、ふわあぁ、と大欠伸までしている。僕の姿を認めると、涙を浮かべた目を擦りながら、おざなりにお辞儀をしてみせた。
「電気屋さんかと思ったら、本島さんでしたか。どうもおはようございます」
「ど、どうも」
「おはようございますじゃあないよ益田君。全くだらしない。彼だったから良いようなものの、本当のお客様だったらどうするんだい」
矢張り客として認められていない。
益田がどさりとソファに腰掛けたので、つられて自分も座る。クッションに身を預けて、未だ眠たそうな益田に話しかけた。
「事務所改装したんですか?」
「へ、何でですか」
「益田さんが寝てた部屋は、榎木津さんの寝室だった所ですよね」
「そうですよ、と云うより、今もそうです」
意味を量りかねている僕と、細い目をしょぼしょぼさせている益田の目の前に、それぞれ冷たい水が置かれる。
有難く飲んでいると、寅吉がつまらなそうに呟いた。
「最近益田君は、先生の寝床で寝泊りしてるのさ」
含んだ水を噴き出しそうになった。どうにか堪えたものの、変な所に入ってしまい噎せている僕の頭上で、変な会話が続いている。
「いやぁ凄いんですよ実際、榎木津さんの寝台。何て云うんでしょうねぇ、クッションが凄い。その上布団は羽ですよ。綿じゃないんですよ。おまけにシーツはいつも清潔で、良ぉく眠れるんですねこれが」
「私ゃ君を安らかに寝かせるためにシーツを換えてる訳じゃ無いよ、全く。このソファが気に入ったって云ってたのに、贅沢は直ぐ憶えるんだから」
「いやいや確かにこのソファも素晴らしかったですよ、でもやっぱり寝心地が全然違いますねェ。まぁ縮こまって寝てますから実際寝てる面積としたらソファとそんなに変わらないですけど」
益田はさも楽しげにけけけ、と笑っている。僕はようやく気管の水を収めるところに収めたものの、驚きすぎて何の用事で来たのかすっかり忘れてしまった。忘れてしまう程度の事だ、大した用事じゃあ無かったのだろう。恐らく。
聞いたら面倒な事になる、と思った時には、既に僕の口は益田に向けて開かれてしまっていた。
「榎木津さんは何処で寝てるんですか!」
「何処でって、この中ですよ?ベッドの大半取って、すやすやとお休みです」
益田の華奢な指が寝室の扉を示し、頭をがんと殴られたような気持ちになった。変な事務所だとは思っていたが、こういう可笑しさは想定外だ。
馬鹿のように口をぽかんと開けたまま、部屋と益田とを交互に見ている自分に向かって、益田がきゃああと大袈裟な悲鳴を上げた。
「嫌だー本島さんったらいやらしい!何も無いですよう!寝てるだけですって」
「ね、ね、寝てるだけって、榎木津さんと、あの榎木津さんと…ですよね?」
「そうですよ。まぁ寝てる時はあの人も綺麗なもんです。寝言とか云うから寝ててやっと起きてる普通の人くらいですかねぇ」
目覚めて大分口の滑りが良くなってきたらしい益田が、首を傾げたり指先を捏ね回したりしながら説明する。その口調には後ろめたさはおろか、照れのひとつも感じられない。さも当たり前と云った様相ですらある。
「うら若き女性と同衾なんて云ったら流石の僕も丁重にお断りしますけど、相手はいくら美形ってったって30半ばのおじさんですからねぇ」
後頭部を掻きながら更に益田が続けた。それもどうかと思う、とも云えず僕も何となく頷く。
其処に何も云わず自分の職分を果たしていた筈の寅吉が現れ、箒で益田の頭を軽く小突く。
「折角起きたんだ、買い物にでも付き合いたまえよ」
「えええ、和寅さんと買い物に行くと長いんですもん。本島さんと行けばいいじゃないですかぁ」
「彼はお客さんだろう。ゆっくりしていってくださいよ。もし電話がかかってきたら、探偵は不在ですとか云っておいてくれれば大丈夫だから」
普通客は、訪問先で掛かってきた電話には出ない。
僕が何も云わないのを了解と解釈したのか、割烹着を着たままの寅吉と、益田――彼に至ってはいってきまぁすと手まで振って――は出て行ってしまった。
カウベルが鳴り止めば、辺りは静かなものだ。だだっ広いフロアに、たった一人取り残される。
見る物も無いので何となく座り込んでいると、丁度視線の中にあったドアノブが回り、ドアが開いた。中から現れたのは、薔薇十字探偵社の社主であり、探偵であり、最も普通からかけ離れた男。
鳶色の瞳は僕の姿を認めると、先程まで益田が座っていた席に座った。
「武蔵嵐山じゃないか、何故此処に居る?」
「ええと…留守番です」
武蔵嵐山では無いし、そもそも別の用件があって来た筈なのだが、訂正するのも面倒だし、意味が無いので中間を全て省略して現在の状況だけを答えた。どうやら、榎木津の機嫌を損ねずに済んだようだ。
皺の寄ったシャツとくしゃくしゃの髪が益田とだぶって見えて、つい目を逸らす。その行動が気になったのか、榎木津は僕の頭のあたりをじっと睨んだ。
「益山に会ったのか」
「ああ、はい。丁度そこに座ってて…ちょっと話しました」
「何を聞いた?」
ぎくり、と背筋が強張る。
益田の態度は決して後ろ暗いものでは無かった筈で、榎木津の質問にもきっと他意は無い。なのに悪い事を聞かれたような気になってしまったのは、きっと自分の受け取り方の問題だ。
益田が飲まなかった水を飲んだ榎木津が、僕の答えを待たずに云う。
「マスカマが僕と寝てて、何か不都合があるのか?」
「いや不都合なんて――ただ」
僕だって、近藤の手伝いで徹夜して、部屋に戻る体力も尽きた時等はあの雑然とした部屋で倒れるように眠り、結果あの山賊のような男と雑魚寝の形になってしまう事もままある。勿論申し訳無い気分になる事は一切、無い。相手が近藤で無くても、例えば益田であっても問題は無いだろう。
何故益田が榎木津の寝室から現れた時、僕は動揺してしまったのだろうか。答えなど、解りきっていた。
「彼は、榎木津さんの事が―――好きなんじゃないかな、と思ってましたから」
「なるほど」
榎木津がにやりと笑い、僕は肩を竦める。云ってはいけない事を云った。少なくとも、益田にとっては。
けれど榎木津は至って変わらぬ様子で、手慰みにグラスの縁を指で擦っている。
「そうだよ、ヤツは僕の事が好きだ」
「えぇっ!?」
「自分で云った癖に何を吃驚している、東武竹沢!」
「だ、だって、益田さんは何も無いって」
「一緒に寝たら何かしないといけないのか、顔に似合わずいやらしい男だな東松山は」
一日に2回もいやらしいと云われてしまった。不毛だ。
釈然としない気持ちでグラスの水を舐める僕を無視し、榎木津は更にクッションに深く埋もれる。
「僕だってにゃんこを抱いて寝たりしたい。にゃんこは良いぞーあったかくてやわらかくて。でも僕はにゃんこを撫でることはあっても何かしようなんて思わない。赤ちゃんだってお母さんと一緒に寝るじゃないか」
「はぁ、そうですね」
早苗と梢が手を繋いで、縁側で午睡している光景を思い出した。榎木津にも視えたのか、「かぁわいいなぁ」と喜び、整った顔を崩している。
僕もつられ笑いをしたが、榎木津がグラスを机に叩きつけるように置いたので、驚いた。たぁんという高い音。
顔を上げると、一瞬前とは別人のような顔をした榎木津が居る。
「―――益山が僕と寝なくなったら、僕の勝ちだ」
贅沢は直ぐに憶えてしまうと寅吉は云っていた。
彼が、心地の良い寝床を放棄する時があるとすれば。
想像したくは無かったが、その時既に僕の中には、軽薄な笑みを消し去った益田の顔が浮かんでしまっていた。
お題提供:『BALDWIN』様
―――
少し早いですが、シロさんお誕生日おめでとうございます。
「益田と榎木津が性的な意味でなく一緒に寝てるのが読みたい」との事でしたので書いてみました。
多分こういうことじゃ…榎木津…こんな…なんか…ううん……とにかくおめでとうございます!
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