Web拍手お返事です。ありがとうございます。
真宏れい様
「2.いつも無難な方を選ぶんです」へのご感想ありがとうございます。
リバ大丈夫でしたか、良かった~。攻める益田も攻める榎木津も受ける2人も楽しみたいですよね。
益田をテンパらせて(性的な意味も含む)泣かせたい派です。
益榎の初体験でも未知の感覚に怯えるわ感極まるわ気持ち良いわで多分益田は泣いちゃうと思う…。
そんな益田が読みたいです。
叩いてくださった方もありがとうございます。ラブ。
益(田)に水をかけると溢れる(という字になる)、と言う言いがかりのような理由でエロス萌えしてますが相変わらず自分では書けない罠。
毎日毎日益田を書いてきましたが、今週末はお出かけなので更新できません。しょんぼり。
今から出かけるまでに1本書けたらいいなぁ。
次の更新は火曜日になるかと思います。またお会いしましょう。
街が眠りに就き、夜の帳が榎木津ビルヂングを覆う頃。
営業を終えた薔薇十字探偵社には、3つの人の気配がある。
1つはもう眠りについた和寅。
あと2つは、神の寝室にあった。同じ寝台の上にいる、榎木津と益田のものだ。
見詰め合う2人の肢体を、カーテンの隙間から漏れる月光が照らしている。
シチュエーションこそ立派だが、そこには色気も素っ気もなく、ただ妙にピリピリした空気が流れていた。
暗がりの中でもなお強い榎木津の両目が、益田に突き刺さる。
「いやですから、榎木津さんのお好きな方でお願いしますって」
「その『お願いします』って言うのはなんだ!ぼくはお前にお願いされて寝ようっていうわけじゃないぞ」
「そうは言いますけど、僕ぁそういう艶っぽい事は不得手なんですよぅ」
生々しくて、と言って益田は目を逸らした。
常日頃自称する通り、出来れば表層に流されるまま生きていきたい性質の益田だ。それは色事においても同じことだったらしく、実際これまでも榎木津の気分次第で浚われるようにして嵐の夜を過ごしたこともある。
ところが今夜は常と違っていた。寝室に引き込まれたまでは良かった――というのもおかしな話だが、榎木津はこう言い放ったのである。
「僕に挿れるのと僕が挿れるのと、どっちがいいんだ」 と。
益田が煮えきらずうーとかあーとか言っている間にも、時は過ぎて行く。
榎木津の苛立ちが座っている益田にまで伝わってきて、ますます焦るばかりで考えがまとまらない。冷や汗が背中を伝い、いっそ溶けて消えてしまえば考えなくて済むかと思う。鬱病の小説家のことが頭を過ぎった。
その瞬間、榎木津の眉がぴくりと動くのを見た。苛立ちが怒りに変わっている。
「なんでサルのことなんか考えてるんだ!」
「い、いや違います!決して違います!」
「したいのかしたくないのか、どっちだ!」
「そりゃしたいですよ!」
売り言葉に買い言葉で、とんでもないことを言ってしまった。益田の頬に血が昇る。
白いシャツ一枚羽織ったきりの裸の胸が眩しい。
あの肌に指を沿わせれば普段騒がしいばかりの彼が耳に心地よい声で鳴くことも、榎木津のものを身の内に受け入れ揺さぶられ、腹に擦れた屹立が齎す快感も知っているだけに、益田は泣きそうな顔になった。
そんな益田と対照的に、榎木津はにこりと微笑む。寒風吹き荒ぶ北の大地から急に陽だまりに放り出されたようで、益田は逆に面食らってしまう。
「そっか、ぼくもしたい」
だから早く決めな、と促された。
先程までとは違った意味で、益田は涙が出そうになった。
榎木津の意図こそ解らないが、現に彼はこうして自分の答えを待ってくれている。自惚れてもいいのだろうか。自分は少なくとも彼に望まれている、と思ってもいいのだろうか。
益田は毅然と目を上げて、口を開く。
「……榎木津さんの、お好きな方で……」
雷のような怒号で和寅が目を覚ましてしまったため、議論は次回に持ち越されることになった。
――――
好きなのでどちら側でもいい。
とはいえ同時間軸の完全リバーシブルは読み手を選ぶ気が…吃驚した方いらしたらスミマセン。
星が綺麗だから少し遠回りしよう、と言って益田を誘い出したのは鳥口だった。夜気が火照った頬に心地よい。街から離れるほど、星は多く明るく見えた。
「綺麗ですねぇ。鳥口君写真機持ってくれば良かったのに」
「いいのいいの。今益田君と見てるから意味があるんすよ」
もう上手いんだから、と言ってケケケと笑う益田はほろ酔いで上機嫌だ。かく言う鳥口の足元も少し浮遊感を伴っている。少々飲みすぎたようだ。喧騒も遠く、会話の合間に靴の裏が土を踏みしめる音がする。酔っているので軽口は機嫌よく続いたが、やがてそれも終わり、しんとした沈黙が2人を包んだ。
手持ちぶさたに見上げた夜空は、やはり星が降るほどに輝いている。
「…流れ星に願い事3回言うと叶うって言いますよねェ」
「言います言います。でもありゃ駄目ですよ、僕ぁもっとキラキラーってゆっくり流れるもんだと思ってたんですけど、実際見たら一瞬ですよ」
スッと夜空を切り裂くような光の線は、あっと思う間もなく消えてしまい、幼い時はそれは落胆したものだった。この年になるとゆっくり夜空を見上げるなんていうこともない。それを寂しく思った鳥口は、益田に提案した。
「どうすか、流れ星探してみませんか」
「なんですか藪から棒に!第一そんなすぐ見つからないですよ、朝になっちゃいます」
「いやぁこんなに星があることだし、こうして背中を合わせて見張っていれば1つくらいは見つかるかも」
遠くに黒山のようになった森がある以外は辺り一面ほとんど田んぼで、夜空が覆いかぶさってくるようだ。
半ば無理やりに益田の背中と自分の背中を合わせると、やめてくださいよぅ鳥口君と笑う益田が身を捩る。
暗がりの中で男2人がきゃあきゃあとはしゃぎまわっているのは、相当の奇態だ。これだから酔っ払いは仕方ない。
小走りで逃げ出した益田を、鳥口が追いかける。やがて2人の歩幅は狭まり、てくてくと歩くようになった。
「見つかったとしたって、あっ鳥口君流れ星ですよさぁ願い事をどうぞとか言っている間に消えちゃいますからね」
「いやぁ益田君が見つけたぶんは益田君の権利でしょう」
「僕はいいですよ、そんな願いたい事もないですし」
願いたい事がない?鳥口は首を傾げる。
戯れに指折り数えながら、願い事について考えてみた。
「またまたァ。色々あるじゃないですか。旨いものを腹一杯食べたいとか」
「それは鳥口君のお願いでしょう。あんなに食べてよく旨いもののことが考えられますねぇ」
「旨い酒が飲みたいとか、いい暮らしがしたいとか」
「僕ぁ小市民ですからねぇ、なんだかんだ言って身の丈にあった生活が一番ですよ」
「想い人に振り向いてほしいとか」
そう言って指を折った時、あ、と思った。
益田は一瞬足を止めたが、すぐに元通り歩き出す。
彼が腕を振るたびに、星空の下で蒼く見えるシャツの背中から尖った肩甲骨が浮き出している。
「…駄目ですよぉ」
夜空よりなお黒い彼の髪が、月明かりを受けて輪を作る。
「言葉は口に出すと力を持つんです。だから言っちゃいけないんです」
いけないんでーす、と歌うように言う彼の表情は、背中からではわからない。
どちらにしても、彼の笑顔は時々諦めたように見えるので、鳥口には益田の心情を量りうることは出来なかった。
前を行く益田の輪郭がうすぼんやりと形を失うように見えて、気づかれないようそっと目を擦る。
「あっ、駅が見えてきましたよ」
街灯のために周りは明るくなり、星の数は減っていく。
鳥口は少しだけ歩幅をゆるめたが、益田がどんどん遠くに行ってしまうので、結局小走りで追いかけた。
願うことすら許されない願いを持つのは、彼だけではない。万が一にも叶わないと知っていても、叶うことをどこかで望みながらも、両手で握って押し殺す。膨らみつづける心の声を、それより強い力で押さえつけて、いつか消えてしまうことを待ちながら。
相反する願いを抱えるその両手は、皮肉にも神に祈る姿によく似ている。
「鳥口君早く、電車行っちゃいますよ」
「うへぇぇ、待ってくださいって」
それでも。
彼の声が神様に届くことを、鳥口は願わずにはいられないのだ。
――――
久々に薔薇十字恋愛部。なんという乙女鳥口!
2月18日 18:13の方
「4.味覚」へのご感想ありがとうございます。
バラしたのは…どっちなんでしょう、考えてませんでした(えぇ)まさに神のみぞ知る、ということで。
萌えてもらえて有難いです。にこにこします。にこにこ。頑張ります。
さらに榎益ソング教えてくださってうれしいです。ポルノ良いですよね。いちいち榎益。『ラビュー・ラビュー』など好きです。
「5.触覚」は教えて頂いた『アゲハ蝶』をリピートしながら書きました。良かったらこちらも読んでみてください。R15ですが…
「2.聴覚」は『YES YOU CHANGE THE WORLD!』様の語り場絵をリスペクトして書いたものですが
なんとご本人からコメントが頂けた上、語り場には益田の耳を攻める(自己解釈自重)榎木津絵が…!
しあわせすぎて倒れそうです。本当に嬉しい。ありがとうございます。
まだ見てない方は是非見て、いっしょにしあわせすぎて倒れてください(?)
そうこうするうちにブログ立ち上げて1週間が経ちました。
京極サーチ様に登録したくて作ったブログです。益田を書くのが楽しくてしょうがないです。